が2人を連れてきたのは
さっきラビといた森の入り口にあるログハウス
「ここはなんじゃ・・・?」
「・・・、ここって・・・」
先ほど一緒にいたラビはわかっているようだが
初めて来たブックマンはやはりここがどんな場所なのかわかっていない
「・・・あのねブックマン、ここに私のお父さんが住んでるの。」
「・・・」
「・・・本当は、私が6歳の時から会ってなかったんだけど、ここにいるってあの館のご主人が言ってたの。」
「それで、食後出掛けていたのか?」
「あ、あぁ。」
ブックマンはにではなくラビに問いかけた
はそれを見ながらも、心が完全にログハウスへと向けられていた
「そのの父親は、事件と関係あるのか?」
次にブックマンがに問いかけると、はログハウスの方を向いてぎゅっと拳を握りしめた
「・・・わ、かんない・・・けど、
なんとなく・・・なんとなく、ね、
さっき戦ったAKUMAが・・・お父さんな気がするの。」
Spinning Dance ---9
「、何言ってるさ!」
ラビは驚いての肩をガシッと掴むが、は動じなかった
「親父って、さっきの男だろ!?あいつが・・・!?」
「ラビ、少し黙れ。」
「けどジジィっ・・・」
「黙れと言っておる。」
物怖じしないにラビが詰め寄るがは何も言わず、
逆にブックマンによってそれを止められてしまった
ラビは渋々から離れた
「、根拠はあるのか?」
「・・・ない、よ。」
「じゃぁ・・・!」
「でも、そんな気がしてしょうがないの。
ラビと見た時のお父さんは10年近く会ってなかったとはいえ、あんな風な人じゃなかった。
それに、あのAKUMAと戦ってる時、すごい違和感があって・・・それが根拠になるかは、わかんないけど・・・。」
そう、ちゃんとして根拠なんてものはない
なんとなく感じてしまっただけなのだ
それは違うと言われれば違うのかと納得出来てしまうだろうし
そうなのかと言われればやっぱりそうなのかとも思ってしまう
そんな、曖昧なもの
でも、だからといって、簡単に拭いきれないもの
それは、父親だから、なのだろうか・・・
「。」
「っはい!!」
ボーッと考え事をしていたら、ふいにブックマンから声をかけられ驚いてしまった
横にいるラビはまだ若干心配そうな顔をしている
「が感じ取ったものが当たっているのかはわからんが、とりあえず調べてみよう。」
「え・・・!?」
ブックマンの口からは予想外の言葉が出てきた
曖昧過ぎる説明だから、きっぱりと信憑性がないと否定してくると思っていたのに・・・
「がそれでいつまでも悩んでいては先に進むことは出来ぬ。
手がかりはほぼないのだから、気になったことからシラミつぶしに探索するしかあるまい。」
「そ、そっか・・・そうだよね。」
次に言ったなんともブックマンらしい見解を聞いて、はようやく納得した
「うん、ありがとうブックマン。」
「礼には及ばぬ。とりあえずあの家を訪ねるとしよう。」
「う、うん・・・」
ブックマンに促され、はログハウスの数段ある階段を上り、ドアの前へと立った
すると、先ほどと同じように躊躇いの気持ちが一瞬浮かぶ
「・・・」
「。」
するとそれに気づいたのか、ラビも階段を上っての隣に立った
「ラビ・・・」
「大丈夫さ。」
不安そうな顔をするに、ラビは優しく笑いかけた
するとの目が大きく見開かれた
「ん、なんさ?」
「え、いや、なんでもない・・・うん、いくね。」
の中に不思議な感情が広がった
だがそれを悟られないようにブンブンと首を横に振ったは
その勢いとともに意を決してドアをコンコンとノックした
「ごめんください、どなたかいらっしゃいますか!?」
そう声も一緒にかけるが、中からはなんの反応もない
「・・・ごめんください、誰か---っ!?!?」
もう一度が声をかけようとしたその時
なんの前触れもなく、ドアがギィィィィと静かに開いた
瞬時にとラビが数歩後ずさるが、中からは誰も出てこない
不思議に思ったラビが思い切ってドアを全開にするが・・・
「・・・誰もいねーな。」
中は普通の家で、誰かがいる気配はない
「でも、なんで開いたんだろう・・・」
「・・・誘ってんのか?」
「っ!?それって・・・」
「あぁ・・・どうする、ジジィ?」
2人が後ろで待機しているブックマンの方を向くと
ブックマンはスッと階段を上り、2人の間を擦り抜け一歩だけ中に入った
「・・・中を調べよう。」
そして一通り見渡したブックマンがそう言ったのを合図に、2人もゆっくりと家の中に足を踏み入れた
家の中も外観と同じく木で出来ていて、中央には大きな暖炉、その前には上質そうなソファとガラステーブル、
向かい側にはオープンキッチンと、その横にいくつかドアがあったが、
階段らしいものはなく1階しかないのだろう
緊張しながらもラビやブックマンとともに家の中を探索する
だが、ベットルームや書斎といった他の部屋も同様に人がいる気配はない
「事件の手がかりになりそうなものは・・・ないか。」
「やっぱりの勘違いさ。」
ベットの下を探るラビに改めてそう言われ、は心なしかホッとした様子で机の物色を止めた
だがそれも束の間
「ラビ、!」
リビングにいるブックマンから声がかかり、再びの顔に緊張の色が浮かぶ
そんなを心配そうに見ているラビとともに急いでリビングに戻ると、ブックマンは暖炉の前にいた
「どうしたのブックマン?」
「ここじゃ。」
ブックマンが指差したのは暖炉の手前の床
ラビが身を屈めると
「風があるさ!」
と言った
「地下か何かってこと?」
「そのようじゃが、さてどうやって行くか・・・」
「なら任せて!」
はラビをどかすと、その風が吹いてくる床の前で虹霞を取り出しシュッと一振りした
するとそこまで威力はないものの床を吹き飛ばすには十分な鎌鼬がバン!と床に当たった
ガラガラと音を立てながら床の木が割れ、中から下に続く階段が現れた
「・・・隠し部屋。」
「行くぞ。」
隠し部屋があった事にやはりショックを受けている
だがブックマンはそれを気にせず階段を降りて行こうとするのでラビに続いても慌てて後を追った
床の木材が吹き飛んだ時も感じたが、随分と長い階段らしい
軽く3階分は下って行くと、ようやく鉄の扉が現れた
「2人とも、イノセンスは常時発動可能にしておけ。」
ブックマンに言われ、ラビは鉄槌を小さくしたまま手に持ち、も虹霞を手に持った
それを確認したブックマンは慎重にドアの取っ手に手を添えると、一気にバン!と開け放った
「・・・これは。」
そこにいたのは、
「こ、どもたち・・・!!!」
誘拐されたと思われる子供達が、その亡骸が、無造作に積み上げられていた
「そんな、そんな・・・!!!」
が傍に駆け寄っても、子供達はピクリとも動かない
愕然とするの横に立ったラビが子供の数を数えると、
探索部隊が言っていた事件数と同じだけの子供の亡骸がある
「ジジィ!」
ラビが呼ぶとすぐにブックマンも近寄った
「こやつら、誘拐された子供達で間違いないようじゃな。」
「あぁ、数もぴったりさ。全員ここで殺されたってとこさね。」
「やはりこの奇怪現象はAKUMAの仕業か・・・。」
イノセンスの仕業ではやはりなかった
これはどうみてもAKUMAの仕業だ・・・
つまり・・・
「この家の主が・・・AKUMA・・・」
ギィィ・・・バタン!!!!
その時、不意になんの気配もなくドアが閉まった
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思った以上に長いぞ一章。(汗)
2009 02 24
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