船によりスカンディナヴィア半島の東にある国、スウェーデンに到着した
スコーネはスウェーデンの最南端にある地方で
思ったよりも早く到着し、そこから汽車に乗って
一つの小さな村へと3人はやってきた
「ここが奇怪現象の起こってる場所?」
そこは、ここら辺ではよくある農業の盛んな村だ
特に不思議なことが起きているようにはとても見えない
ごく普通に人が畑を耕している、のんびりとした雰囲気が印象的だ
「表立った奇怪現象ばかりではない。
詳しいことは、現地の探索部隊に聞くとしよう、案内してくれんかの。」
「はい。」
ブックマンに促され、付き添いの探索部隊が先導して一つの民宿へと立ち寄った
そこには現地調査をしている探索部隊が宿泊しているのだ
Spinning Dance ---6
「ようこそエクソシストの皆様。
さぁお掛け下さい、詳しい状況をご説明します。」
優しそうな顔をした探索部隊が快く迎え入れてくれた
3人はその探索部隊と向かい合わせにソファへと腰掛けた
「今回この村では、半年前から奇怪現象が起きました。
おおまかなことは、資料に記載したとおりです。」
そう促され、3人は改めて教団で受け取った資料に目を通した
「・・・子供の行方不明事件・・・。」
「はい。」
が呟くと、探索部隊が頷いた
「半年前より、行方不明事件が多発しています。
ただの犯罪という点でも洗いざらいしたのですが、些か奇妙な点が多いものでして。」
「奇妙な点というのは・・・?」
「普通の人間の犯罪であればすぐにその方法などが割り出せると思うのですが、
それが割り出せないんです。」
「というのは?」
「主に子供が狙われているのですが、
行方がわからなくなる時間帯はほとんど決まって夜10時から11時。
そして9割方は密室にいたにも関わらず、姿を消しています。」
「密室・・・!?」
は驚いたが、ラビとブックマンは表情を変えることなく聞いている
「時間帯が決まっているため、
事件が起き始めた頃より各家では
子供を部屋から一歩も出さないようにしているのですが・・・」
「それでも誘拐は止まらない、ってことか・・・?」
「・・・はい。
もちろん誰かが部屋に入った形跡はありません。
窓やドアにも鍵をかけたままの状態ですので、
子供が自ら出て行ったというわけでもありません。」
「親が子供に付き添っていれば大丈夫ではないのか?」
「それが、一件だけその状態で姿を消したケースがありました。」
そういって探索部隊が一枚の紙を机に置いた
その事件についての捜査状況などが記載されているようだ
「それが起きたのは2ヶ月前。
村の中心にある、比較的裕福な家の少女でした。」
「その時の親の証言は?」
「・・・それが・・・」
探索部隊はブックマンの質問に些か渋った後、躊躇いがちに口を開いた
「・・・突然消えた、と。」
「「消えた??」」
探索部隊の言葉に、とラビの言葉がハモった
2人は驚いて顔を見合わせるが、すぐにまた探索部隊の方へと向き直った
「それは、一瞬でいなくなった・・・ということですね?」
「ええ、母親の話では・・・そう言っていました。」
「ドロンてやつさね。
んで、その母親は今どこにいるんさ?」
「すでに、亡くなりました。」
「亡くなったって・・・」
が驚いて身を乗り出すと、探索部隊は辛そうな顔をして俯いた
「我々が調査に入ったのは1ヶ月前です。
その数日前、その母親は気が動転し、
狂乱したまま近くの森で自殺していたそうです。」
はそんな、と呟いてソファに再び座り込んだ
「・・・その家族で残っているのは?」
「父親だけです。
すでに謁見の準備は整っております。」
さすがは探索部隊と言ったところか
そうとわかればまずはその父親に会いに行くこととなった
民宿より歩いて数分のところに、一際大きな家があった
ここで作られた農作物を地方などに売りさばく仲介業者をして儲けたらしい
「お初にお目にかかります。
あなた方のお話はこちらの方からすでに聞いて存じております。
さ、お座り下さい。」
こちらもまた優しそうな少し小太りの男だった
3人はソファに座り、探索部隊の2人はそばに立ったままだ
「しかし、大変申し訳ないのですが・・・そちらの方に説明したとおり、
私は事件についてはほとんどわかっていないのです。」
「というのは?」
「はい、都市の方にこの村で採れた農作物を売りに行っておりまして・・・」
は悲しそうに眉をひそめた
「つまりは事件当日、家にいなかったのですね?」
「はい。ですので、半月前に帰ってきてから知ったのです。
娘が誘拐されたというのも・・・妻が自殺したというのも・・・。」
主として、情けない話です
そういって主人は頭を抱えて俯いた
「心中お察しします。」
はそう呟いたあと、横で言葉がわからずにいるラビとブックマンに
先程の2人のやりとりを要約して伝えた
「あちゃー事件当日にいなかったんじゃ、わかるわけねーよな。」
「ならばここに来たのは時間の無駄だったようじゃな。」
2人が英語だから主人には何を言っているかわからないが
だからって少し言いすぎだろう・・・とは思った
「んじゃぁ現場見てから帰る?」
「そうじゃな。、頼んでくれ。」
「わかったわ。」
は今度は主人に向き合い、少女の部屋を見せてほしいと頼んだ
主人はいいですよ、と快く了承してくれたので
全員でその部屋へと向かうことになった
「・・・ラビ。」
「なんだよジジィ?」
「・・・お主、に距離をおかれているであろう?」
ブックマンの一言に、ラビはピクリと反応した
ちなみに探索部隊の2人とは主人とともに前を歩いているため
小さな声で会話をしても気づかれていない
「・・・ダグと一緒さ。
多分、俺っちが作り笑いしてるのバレたんだろ、最初に会った時からそうだった。」
かつて自分と任務をともにした探索部隊の少年もそうだった
だからあまり気にしてはいない
「・・・そうか。それ以外に変わったことは?」
「は?ジジィはに興味あるんか?ねーよんなもん。・・・あ!!」
「なんじゃ、あるんではないか。」
「なんか、とジジィが初めて会った時から少し変わったさ。
最初は思いっきり拒絶してたのに、
あれから距離はあるけど普通に接しようとしてるんよ、なんで?」
ラビがブックマンに問いかけても、ブックマンから返事はない
不思議に思ってブックマンの方を見ると
なにかを考えているのかジーッと床の一点を見つめていた
「・・・ジジィ?」
「・・・・・・・・・」
ラビにその意味はさっぱりわからなかった
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なんかね、やっぱり頭の中で整理がつかねー!
一回書き出して整理するって方法、
私の辞書にないんですよ!!!
書き出すんなら頭でどうにかする主義。よくないかな?
2008 11 30
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