ザーザーと音をたてながら降りしきる雨の中
いつものことながら見廻りをサボり、
いつものことだから平気な顔で屯所に戻っていく。
そんないつもの毎日・・・の、ハズだった。
「・・・誰だありゃ?」
屯所の前に、誰かが立っている。
もちろん、ここは天下の真選組の屯所だ、
日頃から道に迷っただのそこで引ったくりにあっただのと
いろんな人がやってくる。
でも、どう見てもそんな感じはしない。
(ずぶ濡れ・・・しかもろくな生活してねーなーありゃぁ。)
雨が降ってるというのに傘も差してない。
おまけに着ている着物は丈が微妙に短くボロボロ、
おそらくずっと着続けているのだろう。
どう考えても裕福な家の者です、とはいかないし、
下手したら家もないかもしれない。
だが、長い髪の間から覗く顔つきはおそらく女だ。
なんだってそんなやつが屯所をジーッと見つめているのだろうか・・・
「ちょいとあんた、こんなところで何してるんでさぁ。」
とりあえず、声をかけてみた。
女はその声に答えるように振り向いた。
女は女でも、その子はまだ幼い少女だった。
多分年も近い。
その少女は振り向いただけで、何も言わずに総悟を見ている。
・・・見ている、のだろうか。
その目に光はなく、虚ろで、
目線は総悟に向けられていても、総悟を見ているようには思えなかった。
それが、出会いってやつ。
壱 ---出会い---
はっきり言って、どうしていいかわからなかった。
「真選組になんか用ですかぃ?」
なにを言っても言葉を発しないし、
かと言って目線をずらしてはくれない。
「・・・用がないなら帰りなせー、
ここは救世主が住んでるわけじゃありやせんぜ。」
とりあえず自分から近づいて、
ずっと雨に打たれている少女の頭上に自分の差している傘を傾けた。
「これ使って帰りな・・・」
それをそのままあげて帰らせようとして、
思わず総悟は息を呑んだ。
「・・・」
相変わらず何も言わない。
けれど、ただ総悟を見ていただけの少女の目が大きく見開いていた。
そして、その目からは大粒の涙が一つだけ零れ落ちた。
「・・・あんた、なんかあったんでって、ちょっ!?」
総悟が再び話しかけるが、
言い終わる前に少女は唐突に総悟の方へと倒れこんだ。
「おい、あんた・・・」
咄嗟にその少女の体を掴んだため傘はどこかに行ってしまった。
少女は気を失っているようで、体の力も抜けていた。
「・・・どうしろってんですか、これ。」
あまりに突然のことで、総悟の頭はついていけない。
けれど、少女をそのままにしとくわけにはいかなかった。
総悟ははぁ、と一つため息をつくと
すっと少女を横抱きにした。
多分そうだろうと思っていたけれど、
その軽さに改めて驚いた。
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始まりまして・・・
頑張って書いていこう、うん。←
2008 10 28
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