ドオォォォォン!!
そんなに遠くないところから爆発音がした。
「・・・また、やってる。」
クスクスと笑いながら、呑気にお茶を啜っていると・・・
ガラガラッ!!
「!!」
「っ・・・ヅラ?」
「ヅラじゃない、桂だ!!!」
あいつがやってきた。
「ちょ、あんた何してんのよ!てゆーかなんでここにいるの!?」
は驚いて窓辺に近づいた。
桂が窓枠に手をついて外に立っている。
「てゆーか見つかったらどーすんのっ今の爆音あんたのだよね!?」
「俺ではない、真選組の阿呆だ。」
「でもあんたに向けて撃ったものじゃない!
ここにいるの見つかったらあたし巻き込まれちゃうー!!」
は桂を容赦なく窓から引き剥がそうと試みるが、桂はビクともしない。
「お前に会いにきたというのに失礼だな。」
「追われてない時に来てくれたら喜んだんだけどね!」
どう頑張ってみても離れてくれそうにはないので、
は諦めるようにため息を吐いておとなしくなった。
「で、真選組に追われてる時に一体なんの用?」
「あぁ、これを。」
そして改めて問いかけると、桂はスッと一輪のひまわりを差し出された。
「・・・ひまわり?」
「あぁ、お前にプレゼントだ。」
は桂から受け取ったひまわりをマジマジと見た。
「ど、どうしたのいきなり!?」
昔から少々ナルシストが入っているヤツだとは思っていたが、
花なんてプレゼントされたのは初めてで思わず頬が緩みそうになった。
「逃げ回っている時に見つけたのだ。」
「・・・あぁ、軽く根っこがついてる。」
ちゃんと取ってきてよーと笑いながら根元の方を整える。
それでも、やっぱり頬は緩んでしまった。
「でもありがと!私、ひまわりって花で一番好きなんだ!!」
「あぁ、気に入ってもらえてなによりだ。」
満面の笑みでお礼をいうと、桂は満足したのかうっすらと微笑んだ。
ドォォォォォオオン!!!!
すると、まるでタイミングを見計らったように爆音が響いた。
「ぬ!?」
「・・・なんか、近くない?」
しかもさっきよりも近い場所な気がする。
・・・それはつまり、こちらの方へと向かってきている、ということ。
「エリザベスがこちらに来るようだな。」
「え、エリザベスが逃げてるの?」
「あぁ、花を取っている間の囮だ。」
「えぇっ!駄目じゃん!!」
桂はジーッと爆発音がした方を見ている。
それを見たは思わず呆れてしまった。
「ヅラ、エリザベスを囮にしてまで花なんていいのに・・・」
「ヅラじゃない、桂だ!」
ビュンッ!!
桂が敏感にいつもの台詞に突っ込んだと同時に、物凄い速さでエリザベスがこちらにやってきた。
『もうすぐヤツらが追いつく』
「うむ、ご苦労だエリザベス!」
「ごめんねーエリザベス、ありがとう!」
は体を乗り出してエリザベスの頭を撫でた。
『そろそろ行くよ』
それをいつもの無表情で受け取ったエリザベスが尚も木の板に書き込みながらそう言うと、
桂はしっかり頷いてからの方へと向き直った。
「・・・。」
「ん?わっ!!」
桂に呼ばれそちらを向くと、ぐいっと腕を引っ張られた。
窓の外に落ちるかと思うくらい引っ張られてしまって、は思わず桂の胸倉を掴むようにしてバランスを保つ。
「な、なによ、つーか近い!!」
「このくらいどうってことはなかろう。」
「どこのどいつと比べてんのよ!攘夷戦争で有名な御方と比べないでくれる!?」
「騒ぐな。」
「だって・・・・・・んっ・・・!?」
尚も騒ごうとしたら、スルリと唇を奪われた。
掠めるだけで終わったが、後ろにエリザベスもいるからかの顔がカァッと赤くなる。
「な、にをいきなりっ・・・」
普通なら手を上げたくなるが、先ほどからバランスを保つために片手は桂の胸倉、
もう片方にはしっかりとひまわりが握られている。
当然赤くなった顔も隠せず、なんだかもう居たたまれない気分だ。
「すまなかったな、ここ最近会いに来てやれず・・・」
しかしそんな気持ちなど知るはずもない桂は更にそんなことを言ってくる。
・・・そんなこと言われたら、もう怒る気だって失せる。
「べっ・・・別に気にしてない・・・よ・・・・・・」
「そうか。」
恥ずかしいが桂と顔を見合わせると、先ほどよりも綺麗に笑っていた。
それを見て、も思わず微笑んだ。
「・・・やはりな。」
「へ?」
「お前の笑顔はひまわりに似ているのだ、太陽のように輝くひまわりにな。」
「え、えっと・・・ヅラ?」
「逃げている時に見つけたと言っただろう、その花。
お前の笑った顔に見えたのだ・・・だから思わず足が止まった。」
「・・・え?」
は顔を赤らめる暇もなくキョトンとしていると、不意に桂の顔が横にずれた。
そしてそっとの耳元に口を寄せた。
「お前の笑った顔は、太陽のように美しい。」
「っ・・・!!!」
思いっきり耳元で囁かれ、思わず背筋がゾクッとした。
その反射のように胸倉を掴んでいる手を更にギュッと握り締めると、
桂はの体を支えてゆっくりと窓辺に戻した。
「ではまた来る、今度は近いうちにな・・・さらばだ!」
そしてエリザベスとともに物凄い速さで走り去った。
「・・・なんであんなキザっぽいこと、平気で言えるかなー・・・」
残されたは、キスされた時よりも真っ赤に染まった顔を手にもつ大きな花で隠した。
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ヅラがキザって、駄目?
てか私のヅラデビュー作が
こんなに臭い作品になるとは!
2008 11 11