ガチャッ!
「こんにちわ〜ってうわ!」
「・・・なに、その歪んだ顔は。」
「歪んだとか言うなや、血見て気持ち悪くなっただけよ!!
そういう時にするごく人間らしい顔だよ!!!」
全く失礼しちゃうわ!
と言いながらはズカズカと応接室に入っていく。
「雲雀、また誰かやっつけてきたの?」
「うん、噛み殺してきたよ。」
はテーブルに座って書類に目を通している雲雀から
目を離すことなくソファに座った。
おいおい、その豪華な椅子になんで座らないんだ?
(椅子は座るためにあるんだよ雲雀さん。)
「なにか言った?」
「・・・言ってはいないよ。」(心の中で言ったけど。。。)
「あ、そう。」
雲雀はそれからもずっと書類に目を通す。
その顔の頬には少しばかりの返り血がついたまま。
きっとぬぐい忘れているのだろう。
それをは、今度は嫌そうな顔をせずにジーッと見る。
「・・・なに、血がそんなに気になるの?」
「ううん。・・・今日はどうしてやっつけちゃったの?」
「僕の前で群れてたから。」
「・・・雲雀は群れが嫌いだもんね。」
「なに、今更。」
「いや・・・だってさ、リボーンちゃんにマフィアにスカウトされたんでしょ?
群れが嫌いなのにやっていけるの??」
「赤ん坊が強いっていうのは認めるけど、入るなんて言った覚えはないよ。」
「でもこれからも目障りな人はやっつけるんでしょ?」
「もちろん、僕の前で群れる人が悪いんだから。」
「・・・そっか。」
「一体なんなわけ?」
雲雀は集中出来ない、と言ったように書類をテーブルに置くと、
テーブルから降りての隣に座った。
「なにかあったの?」
「なにもないよ?」
「じゃぁなんでそんな悲しそうな顔して言うの?」
あれ、そんな顔してる?
はそう言って自分の頬をペチペチと叩いた。
「・・・。」
「んー?」
・・・しばらく沈黙が続いた。
その間も雲雀の目はの目をしっかりと捉えていた。
「・・・なんもないよ、本当に。」
「・・・」
「・・・でも、ね。」
「・・・うん、なに?」
「なんとなく、考えてみたらさ・・・不安になっちゃったんだ。」
「なに考えたの?」
雲雀は、決して目を離そうとはしなかった。
だからも目が離せない。
「いや、雲雀って群れるの嫌いだし、
草食動物って言って噛み殺すし・・・
何年か経ってもきっと雲雀は変わらなくて・・・。
それが雲雀なんだから、私はいいと思うんだけど、さ。」
だが、最後だけはフッと下を向いて、
「いつまで私達、一緒にいられるんだろう。って思ったの。」
そう呟いた。
「・・・・・・馬鹿じゃないの?」
雲雀がはぁ、とため息をついてそう言った。
「なっ・・・し、仕方ないでしょ!
なんか漠然とそう思っちゃったんだもん!!」
はパッと顔をあげた。
「本当に、君らしいというかなんと言うか・・・」
「悪かったわね!!!
どーせ私馬鹿だもん、こんなこと言うんじゃなかった!!!!」
は帰る!と言ってソファから立ち上がると、
スタスタと扉の方へと歩いていく。
すると、後ろからはぁ、という大きなため息が聞こえた。
「は本当に馬鹿だね、一生離すわけないだろう?」
の足がピタリと止まった。
パッと振り返ると、真剣な顔をした雲雀がそこにいる。
いつの間にか頬についていた返り血はどこかへ行っていた。
確かに不安になっていたんだ。
このまま雲雀と一緒にいれるのか、漠然と不安になってしまったんだ。
でも、そう言ってくれたら嬉しいな、って思ってただけで本当に言うか?
しかも真剣な顔で・・・。
あ、あれか、狙ってるんだろう?確実に狙っていったんだろう?
だって私、まんまと顔を真っ赤にしてしまったよこのヤロー。
「プッ・・・、おいで。」
顔を真っ赤にしてその場に静止しているを見て、
雲雀は可笑しそうに笑ってそのまま手招きした。
はそれに引き寄せられるようにのろのろと歩いていく。
そして、ソファの前でピタッと止まった。
が、その瞬間雲雀に手を引っ張られ、そのまま雲雀のところに飛び込んだ。
「・・・雲雀、ホント?」
「なにが?」
が雲雀の背中に腕を回すと、
雲雀もを強く抱きしめて耳元で囁いた。
「っ・・・一生って、死ぬまでってことだよ?」
「うん、嫌とは言わせないよ。」
「・・・じゃぁ、簡単に死んだりしないでよ!」
「僕がそんなに弱いわけないだろう。」
その言葉だけは、なんだか怒っているようだった。
顔を上げれば、やっぱり少しムッとしている。
それを見たらなんだか嬉しいような温かい気持ちがこみ上げてきた。
「そうだね、じゃぁ2人でずっと一緒にいようね。」
「当然。」
(この愛を繋ぎ続けよう)
--------------------------------------------------
ラブラブなんだよ、なんだかんだで。
2008 11 20