「あれー?」
いつもいつもサボるならここ!!
という絶好のお昼寝スポットに、珍しく先客がいた。
(珍しい?)(いやいや、初めてだよ。)
授業をサボっても、部活をサボってもここに人はいなかったんだけど・・・
「・・・マジ誰だC〜?」
制服を着ているのだから、ウチの学校の生徒なのは間違いない。
同級生かな??
髪が長いから女の子なんだろうが、
顔は上手いこと隠れていて見えない。
しかもしっかりとブランケットを掛けている、用意周到?
「もっしも〜し!」
自分が起こされるのは心底嫌うのだが、とりあえずその子を揺すってみた。
だが、揺すっても起きない。
「・・・まいっか♪」
揺すっても起きないのなら、気にするまい。
自分もその子の隣に寝転がると、さっさと寝息を立てて寝てしまった。
「・・・ど、どどど・・・どういうことですか・・・!?」
どうしよう、状況が飲み込めない。
「・・・え、これ、夢!?・・・って痛い!!!夢じゃない・・・。」
テンパッたままとりあえず自分の頬を抓ってみたが、案の定痛い。
頬をさすりながら目の前をもう一度よく見てみた。
目の前に広がるのは、フワフワの金髪。
とにかく金髪、しかもちょーフワフワ!
(あれ、似たようなことしか言ってねー。)
「だ、誰・・・?」
体を起こそうとしたが、何かが引っかかって上手く起き上がれない。
肘を突いて周りを見渡すと、自分の腰に何かが巻きついている。
「・・・腕?」
ペールブルーと白のジャージを着ている腕が、巻きついている。
ホント誰ですかこの見ず知らずの人は!
・・・いやまてよ。
「このジャージって・・・見覚えあるぞ。」
うーんと頭を捻る。
考えろ自分、これはあれだ、確かあの俺様ナルシストが着ていたハズ・・・
「・・・あ、あーそうだ!テニス部だ。」
ようやく思い出して、もう一度その金髪の見つめる。
すると、うーんと言いながらその金髪が寝返りをうった。
腰に巻きついていた腕も解け、そのまま横に仰向けになった。
やっと起き上がることができて一安心。
「・・・えーと確か・・・名前は・・・」
仰向けになったため、ようやく顔がお目見えした。
なんとなく特徴と名前を前に教えてもらったことがある。
・・・誰にって、俺様ナルシストに。
「なんだっけ・・・えっと名前は、そう・・・えーと・・・」
「う〜ん・・・あーよく寝た!!」
一人悶々と唸っていると、横で寝ていたはずの人がパッと起き上がった。
「・・・・・・・・・」
突然のことに驚いて静止していると、その人はこちらに気づいてパッと顔ごと向いた。
「っ!?」
「あ、君も起きたの?てゆーか・・・誰??」
「・・・あ、の、えっと・・・です・・・」
「さん?・・・ん、??」
えーとあなたは・・・と聞いてもその人は聞き耳を持たず、
さっきがしていたように唸りだした。
「・・・あのー???」
「あー思い出した!!!!」
だがと違ったことは、その人はパッと閃いたことだろうか。
「跡部の幼馴染さんでしょ!」
そういって嬉しそうに目をキラキラさせながら言う姿に、
あ、可愛い・・・と不覚にも思ってしまった。
てゆーか顔近い。
「え、あ、はい・・・わたくし、俺様ナルシスト様跡部様馬鹿野郎の幼馴染です・・・け、ど?」
「あはは、そんだけ言えるんだから間違いないね。
そっかー君がちゃんかー会ってみたかったんだよねー!」
会ってみたかったって・・・
「な、なんででしょう?」
「跡部からよく聞いてたんだ、俺くらい昼寝好きのアホな幼馴染がいるって!!」
「・・・昼寝好きはわかるけど・・・アホ言うか・・・あんのクソ跡部・・・!!!」
「あはは、そっかそっか君がちゃんか〜!!」
そういってずっと嬉しそうに笑っている。
だから顔近いってば、えーと・・・
「あの、あなたは誰でしょうか?」
「へ?あ、ゴメンね、俺ジロー!テニス部のレギュラーだよ!!」
「ジロー・・・あー!!!」
名前を聞いてやっと思い出した。
跡部が私と同じくらい昼寝好きのレギュラーがいるって言っていたのを・・・
「知っててくれたんだ、マジうれC〜!!
でもいつもここで昼寝してなかったよね、なんで?」
そう言ってジローが首をかしげる。
どうしよう・・・ドキドキしてきた。
だって顔近いんだもん・・・そう、近いからだよ。
「いや、たまたま良さそうなところを見つけたからで、特に意味はないですけど?」
「そうなの?」
「はい。」
それで納得したのかジローの顔が離れた。
ホッとするのも束の間、だってすぐそばに座っているのには間違いないのだから・・・
「そっかー君がちゃんね。」
しかもさっきから同じことを言っている。
「・・・あの、そんなのに私に会いたかったんですか?」
て、何聞いちゃってんのよ自分。
言って恥ずかしくなってしまった。
「うん?会いたかったよ〜!!」
だがジローはキラキラとした笑顔をに向けた。
「っ・・・」
「あれ、どうかした?」
思わず赤くなってしまった顔を片手で隠すと、
ジローがまた不思議そうに顔を近づけてきた。
「あ、いえ・・・なんでも・・・」
「そう?昼寝仲間さんだよね、会えて嬉しいC〜!」
・・・なんだ、昼寝仲間だからか。
赤くなって損をした、というかやっぱ自分恥ずかしい・・・
「あ、そうだ、部活行かなくていいんですか!?」
が気を逸らすようにそう言うと、ジローはあーとめんどくさそうな顔をする。
「・・・そろそろ行かないと跡部怒ってるよね。」
「絶対そうだと思います。」
だって跡部だし。
そう言うと、ジローは笑って立ち上がった。
「んじゃー行くねー!」
そう言ったのでが慌てて立ち上がると、
そのタイミングを待っていたかのようにジローはニコッと笑って・・・
ちゅ。
「・・・はぁっっっ!?!??!?」
ほ、ほ、ほほほほっぺにちゅっって・・・ほ!?←ほ?
「ねぇ、またちゃんに会いたいから明日もここ来て!!」
当のジローは笑顔のまま。
「え、あ、はい・・・?」
「あ、今はいって言った!絶対ね、約束だよ〜!!!」
の曖昧な返事に喜んで、ジローはそのまま走り去っていった。
「・・・な、なに今の。」
今のキスは何!?
また明日も来いって何!?!?
・・・会いたいからって、それは、お昼寝仲間だから・・・?
・・・それとも・・・?
「・・・明日来たら、教えてくれるのかな・・・」
(明日はそういって、君が起こしてくれるかな?)
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ジローちゃんは確信犯です。
前からそういう意味で気になってたんだよきっと!
って・・・自分で言い訳してどうする(泣)
2008 12 14