コンコン、ガラガラ!!


















「晋助!!ねぇねぇ起きてる!?」









 勢いよく部屋の戸を開けても、部屋の中央にある布団は一切動かない。
 仕方ないのでズカズカと部屋に入りこみ、布団を揺する。





「晋助!起きて!!見てみて!!!」


「・・・るせー。」


 揺すれば、中からくぐもった声が聞こえてくる。






「あ、起きた?おはよー晋助!!」


「・・・もうちょい寝かせろ。」



「え、やだよ!!起きて晋助!!!」


 もう一度寝ようとするのを止めようと布団を捲り上げると、
 外気に晒されて怒ったのか、こちらを思い切り睨んでいる。





「・・・、さみーんだよ。」


「晋助が起きてくれないからだよ〜ねぇ見てみて!!!」


 睨んでくる晋助なんて気にせずに、は手に持っているものを晋助の前に差し出した。








「・・・あ?なんだよこれ・・・」



「えへへ、ポインセチアだよ!!!」


 晋助の目の前に差し出されたのは
 緑の葉に赤い花・・・?




「・・・あぁ、クリスマスだっけか、今日。」



「え。」


 見たまんまの感想を述べると、は驚いたように目を見開いた。




「・・・うわぁ、晋助からその言葉が出てくるとは思わなかった!」


「俺をなんだと思ってんだよ。」


「なにって、晋助。」


 無駄な質問だった・・・と思いながら起き上がる。




「で、そのポセチア?がどうかしたのかよ。」


「ポインセチア!!さっきね、買出しに行ったときに町で配ってたんだよ!」


「花を?」


「そ、白ヒゲのサンタさんが!また子ちゃんと行ったんだけどね、はしゃいじゃった!!」


 一輪のポインセチアを嬉しそうに見つめる姿は少し幼げで、
 本当に自分と同い年なのだろうかと、ふと晋助は思った。




「・・・どうかしたの、晋助?」


「・・・なんでだよ。」



「なんか楽しそうに笑ってるね!」


 いつの間にか自分も笑っていたことに気づかなかったが、
 はそれを気にすることもなく更に嬉しそうに笑っている。
 それを見て、晋助も改めて笑い、の手からポインセチアを取った。




「・・・ポインセチアっていうのか、この花。」


「うん、私もサンタさんに教えてもらうまで知らなかったんだけど。
 あ、それでね、この赤い部分って花じゃないんだって!!」



「は?」


 は赤いところの中央にある黄色い部分を指差した。




「ここがね、花なんだって!」


「・・・誰もわからねーだろう。」


「あはは、私も言われなきゃわからなかったよ!
 で、この赤いところがね、・・・えーっと・・・」


 あれ?と首を捻る
 そのことについても、花配りをしたサンタから聞いたハズだ。
 だが・・・如何せん思い出せない。
 滅多に聞かない言葉だったからだ。




「・・・なんだっけ?」


「思いだせないのかよ。」





「なっ・・・でもちゃんと教えてもらったもん!」

 馬鹿にしたように言うと、むっとして頬を膨らます



「あーそうかよ。
 ・・・つーか、さみぃ。」




「へ?」




 晋助が顎で指差す方にが振り返ると、部屋の戸が開けっ放しだった。


「・・・あぁぁぁぁ!!!」


 だがはそのことには目もくれずにそっちへ走っていくと、更に戸を広く開けた。

「おい、!さみぃっつってんだろうが!!」



「晋助、見てみて!!!」


 更に廊下からの冷たい空気が部屋に入り込み晋助が怒鳴るが、
 は全く気にせずに本日何度目ともわからない言葉を口にする。




「あ?」


「雪が降ってるよ!!!」


 が廊下の窓を指差すと、外では雪が降っている。






「・・・どおりで寒いわけだ。」


「晋助、関心するとこそこじゃないよ〜・・・
 今日はホワイトクリスマスってことだよ!!」


 全くもう、と呆れたは窓に張り付いて雪に見入っている。
 本当に行動の一つひとつが子供じみていると感じた晋助はくくくっと小さく笑うと、
 布団から出て傍にある適当な着流しを羽織るとの後ろまでやってきた。





「江戸にクリスマスって・・・ムードのへったくれもねーなぁ。」


「あはは、そうかもね。」


 楽しそうに笑うの後ろから腕を回し抱きしめると、
 も答えるようにその腕に手を添えた。



「・・・これなら少しは温かい?」


「十分。」


 くいっと体重を少しだけ預け、手に持ったままだったポインセチアをに差し出すと、
 はそれを受け取って雪の前にもっていった。



「えへへ、これだけでもクリスマスって感じだね!!」


 深々と降る雪と、それとは対照的な真っ赤なポインセチア。


「ま、そうだな。」



「素直に感動してよ晋助!」


「俺はそんなの柄じゃねーだろうが。」




 それでも、少しだけ素直に感動したから
 晋助は黙っての髪に口付けた。
 くすぐったそうに身をよじるからは、
 微かに嬉しそうな笑い声が聞こえた、気がする。















 白ヒゲおじさんのい服    


(メリークリスマス、晋助♪)
(・・・あぁ。)




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まさかの高杉クリスマス夢!(笑)
高杉好きだーーー♪



 2008 12 18