どいつもこいつもバレンタインってウキウキだよね〜・・・
まぁ、そんな事言ってる私もウキウキなんだけどね!
なんでって?そりゃ〜友チョコ貰えるもん♪
え、好きな男の子にあげられるじゃないのかって?
いやいや、私に好きな人はいません。
「お〜誰かと思ったらがおった。」
「あっれ、仁王?」
物思いにふけっていたら、突然仁王が現れた。
あたしのクラスメートです、一応仲は良いです、よくブン太も混じって楽しく馬鹿やったりしてます。
「なにしてんの、部活は?」
「こそ何しとぉ?」
「あたし帰宅部だもん。」
「なら帰ってる頃じゃろ。」
「友達待ってんだ、委員会の仕事長引いてるっぽいけど。」
「ほぉ。」
「で、仁王はなんで?部活出ないと怒られない?」
「プリッ。」
うぉ、微妙なスルーされてしまったなぁ。
「で、何食べてるんじゃ?」
仁王はそう言って私の前の席の椅子を引いて座った。
「今日貰った友チョコ〜♪」
「ずいぶんいっぱいあるんじゃな。」
仁王はあたしの机に広がっているいろんな種類のチョコを物色している。
「ちょっと、食べないでよね!」
「一個くらいは減るもんじゃなか。」
「いやいや、確実に減るよ!」
「はケチじゃな。」
「ちょっと〜人聞きの悪い事言わないでよ!」
そう言って今度はブラウニーに手を付ける。
「そう言えばはチョコ好きじゃったのー・・・」
「うん♪だから今日楽しみにしてたんだ〜そしたら大漁大漁、マジでバレンタイン万歳!!」
「ふーん・・・で、これはなんじゃ?」
「ふぇ?」
仁王が指しているのは、机の横にかかっている紙袋。
「あぁ、これはあたしからみんなにの友チョコ。」
そう言って紙袋の中からちょっと大きめのタッパーを取り出して机に置くと、
中からゴロゴロと何かが転がる音がした。
「なんじゃ、まだあるんか?」
「あ、ちょっと・・・!」
の静止を華麗に交わし、仁王はタッパーの蓋を開けた。
「トリュフじゃな。」
「うん。」
中には丸いトリュフが4・5個だけ入っている。
「本当はあたしも個別にラッピングしようか迷ったんだけどさ、
めんどくさくてタッパーにしたら数が適当で余っちゃった!」
「他の子はちゃ〜んとラッピングしちょるのにのぉ〜・・・」
「むっ・・・あたしだけがタッパーじゃないよ!何人かいたもん!」
「そうかそうか。」
仁王は頷きながらもまた机に広がるチョコを物色している。
(絶対あたしだけ馬鹿にしてんなコイツ・・・)
「本命チョコはあげたと?」
「ハ?本命?・・・仁王、あたしに本命がいると思ってんの?」
「その様子じゃやっぱりおらんようじゃな。」
「いやいやいないいない!!」
あたしが盛大に首を横に振ると、仁王は可笑しそうにクックっと笑った。
「ブンちゃんにはあげたと?」
「あげてないよ。あたし男子に友チョコってなんか微妙だな〜って思ってるし。
どうせブン太のことだ、あたしより大漁でしょう?」
「酷いのぉ。」
「酷くないよ。友チョコの良いところはあげたらくれるとこ!
ブン太にあげたってお返しこないじゃん?」
「ホワイトデーは?」
「1ヶ月も待つなんてナンセンス!それにあたしチョコがいいもん!!
それに・・・」
「・・・それに、なんじゃ。」
「あー・・・いや・・・」
ついつい口から出かかってしまった言葉を発しないように今度は石畳チョコの入った袋に手を伸ばすが、
その前にあっけなく仁王に取り上げられていしまった。
「あ、仁王!」
「言いかけて言わんのはこっちが気になるもんじゃ。ほれ、喋りんしゃい。」
「ぐっ・・・別に、大した事じゃないもん。」
「大した事じゃないなら、言えるじゃろ?」
「なっ・・・詐欺師め!」
「こんなの詐欺の内に入らん。」
他のチョコを取ろうかとも思ったが、きっと仁王には全てお見通しだろう。
帰宅部とテニス部じゃ反射神経が違う。
は諦めたようにため息をついた。
「別に、本当に大した事じゃないよ?
・・・ただ、男にあげるなら本命チョコがいいなぁ〜って・・・」
「・・・ほぉ。」
「恋してない女の戯れ言ですがね。ようは理想よ理想!
だ〜なんか言ってて恥ずかしくなった!!」
そう言っては仁王の手に乗っている石畳チョコを取り上げ、中身を取り出して口に放り込んだ。
「は意外と純情じゃな。」
「うるせー!!」
やけのように言い返すと、また仁王はクックと笑うと、椅子から立ち上がった。
「さて、そろそろ部活に行くかのぉ。」
「なんだやっぱりサボってたんじゃん。あのおっそろしい副部長に怒られるよ?」
「今日はコート周りに大勢いる女子にイライラしちょるけ、こっちにまでは気が回らんじゃろ。」
「うっわ、モテモテ発言!仁王、今年何個もらったの?」
「ピヨッ。」
「え、そこスルーする必要ないって。本命チョコは何個だった?」
「ゼロ。」
「ハ?うっそだ〜告白付きで渡してた子とか休み時間にいたじゃん!」
「あれは本命じゃなかよ。」
「乙女の純情を・・・詐欺師だねぇ。」
「詐欺じゃなか。」
椅子を前の席に戻すと、仁王はこっちを向いた。
なにやら真剣な顔なもんで、チョコを食べようとしたまま静止してしまった。
「本命チョコっちゅーんは、自分の好きな子から貰ったもんじゃき。一方的に貰っても嬉しくなか。」
そう言って、仁王は優しく笑った。
「・・・うっわ、今のカッコイイ!こりゃ、モテるわけだ。」
「馬鹿にすんじゃなか。こっちは結局本命チョコ貰えんのじゃ。」
「えっ仁王、本命って・・・ってちょっと!!!!」
驚いて身を乗り出そうとすると、仁王は机の上から一つチョコを取って口の中に入れた。
「あ、あたしのトフュフ!!!?」
それは、未だに蓋を開けっ放しにしていたあたしの友チョコ用のトリュフ。
「え、な、なんで?」
驚いたあたしは、思わず手に持っていた石畳チョコをポロリと落とした。
それを見た仁王はまた可笑しそうに笑うと、あたしの後頭部に手を回して引き寄せた。
チュッ
静かな教室にそんなリップ音が響く。
あ、チョコの味・・・なんて思いながらも呆気にとられるの目の前には、余裕たっぷりの仁王の顔。
「今年は友チョコで我慢するけ、来年はちゃんと本命チョコ渡さないかんぜよ。」
そして最後に御馳走さま。と付け足し、仁王はサッと教室を後にした。
は、少し前のめりになっている体を机に両手をつけることで、やっと支えていた。
仁王がさっき言った言葉が頭の中を駆け巡っている。
あれ、おかしいな、頭の回転は早い方なんだけど・・・
未だに理解出来ない・・・
そして、ようやく理解が出来たのは、友達が廊下の彼方からごめんね〜〜〜!と叫んだ時だった。
それと同時に、あぁ、来年の本命チョコ、予約入っちゃったよ・・・と他人事のように思った。
(こんな恋の始まりってあり!?・・・かも。)
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いっえ〜い仁王夢〜♪←どんなテンション。
なんかリョーマ夢と被ってる、無駄に「純情」が出てきてる。
あっれ〜?(おい。
2009 01 25