「春ちゃん春ちゃん、しゅーんーちゃーん!!」






「あれ、え、ちゃんと・・・祐希くん!?」



「やほー♪」








 自分を呼ぶ声につられて廊下を見ると、
 ニコニコと笑いながら手を振る少女と無表情で手を振る少年が
 ドアのところで身を屈めていた。


「なにしてるんですか?」



「春、匿って。」

「そそ、匿って〜!」




「・・・はい?」







 わけのかわらない春をさて置き、
 と祐希はコソコソと身をかがめたまま教室に入ってきた。



「・・・なにしてるんですか?」


「逃亡中。」

 祐希が無意味なピースとともに言い放った言葉にますますわけのわからない春。





「また要から逃げてるんでしょ?」

「あ、ゆーたー!」

「悠太くん!!」


 そこに祐希の双子の兄、悠太も混ざった。
 祐希は即効で悠太の背中に乗っかった。


「また要くんを怒らせちゃったんですか?」

 悠太のおかげで祐希の言った意味のわかった春がに問いかけた。



「今日はね、よくわかんないけど千鶴がなんかしたみたいよ?」

 あっけからんと言う

 全く、要くんは毎回大変だなーとづくづく思う。
 一緒のクラスの祐希くん、千鶴くん、ちゃんはしょっちゅう要くんを怒らす。
 まぁ、その度に僕らも巻き添えを喰うのだ。




「で、今日はどうして僕のところに来たんですか??」



「なんかさー、もう走り回るのめんどくさくなっちゃったのよねー。」

「だったら春のとこ、みたいな?」

「以外に要も隣のクラスに隠れてるなんて思わないと思って!」

「そうそう、要は以外と馬鹿だから。」




「・・・で、千鶴くんは?」



「「おいてきたよ。」」



「えぇっっっ!?!?」

 思いっきり声を張り上げた春に、うるさい!と2人(と、何故か悠太)に突っ込まれた。





「だって1人くらい逃げてないとさ、要の気を引けないじゃん。」

「そ、元々千鶴が悪いんだから自業自得よ。」

「それに俺はがいればいいし。」

「ありがとう!」

 ニコっと笑うに、いいのかなーと呟く春。



「春、気にしすぎだよ。」

「でも・・・悠太くん・・・」


 祐希が背中に圧し掛かったままを気にする風もない悠太が釘をさした。




















「小猿ーーーーーーーーーーー!!!!!」



「「!!!」」


 すると、廊下の方から要の怒声が響いてきた。


 それを聞き取った祐希とは素早く春の机の影に身を潜めた。



「す、すばやい・・・」

「お褒めの言葉をありがとう、春ちゃん♪」

「いえ・・・」










「要っちったらしつこいっつーの!しつこい男は嫌われるよー!?」


「テメーがこの世から消え失せない限りは未来永劫追い続けてやるよ!!」



 そして数秒後、必死に逃げる千鶴と必死に追いかける要が廊下を通過した。







「作戦成功だね、祐希!」

「いえーい。」


 が嬉しそうに祐希とハイタッチをした。



「楽しそうですね・・・」


「そうだねー」

 春が苦笑いをするも、は相変わらず笑顔だった。




「祐希、、そろそろ授業が始まるよ?」

 と、時計を見た悠太が呟くと、
 祐希とはそうだねーと言って立ち上がった。


「春ちゃん、匿ってくれてありがとね♪」

「いえいえ、特になにをしたわけでもないので・・・」


「このお礼はいずれ必ず。」

「はい・・・」(本当にする気はなさそうだけど・・・)



 そう言って2人はのろのろと教室を出て行った。





「・・・嵐が過ぎ去った気分ですね。」

「そうでもないんじゃない?」

「そ、そうですか・・・」

「楽しかったでしょ、春。」

「え?あ、まぁ・・・」


「嵐がきたら楽しいハズないじゃない。」


 悠太の言った言葉にあぁ、と納得したように呟いた春は
 ニッコリと笑った。



「それもそうですね・・・」











 ネバーランド行きの切符     


(いつだってこの人たちといると楽しいのだ)








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【君と僕】の初夢。
うーん・・・オチがないよね、すみません・・・orz
でもこんな感じだよね!(何が。)



 2008 10 24
title:ユグドラシル