暗殺や諜報、戦場が私の生業。なれど甘やかしな召使に囲まれた温室育ちの姫君の相手とは、
こうみえて私結構子守りは得意なんですよー、と。
いつぞや調子に乗って口を滑らせたせいか、面倒な依頼を受ける羽目になってしまった。
(…でも聞いていた話とは随分違うんだよなぁ)
本当に此処は護衛が必要なのかと疑いたくなる程に鉄錆の臭いと無縁の、平和すぎる城だ。
安穏とした空気に思わず漏れそうになった欠伸を噛み殺す。
「…ふふ」
不覚にも幼い姫君に笑われてしまう。少しばかりの気恥ずかしさ小平太は頬を掻いた。
「あ、申し訳ございません」
「いいのですよ。其方の様な腕利きの忍にとっては私の護衛なんて退屈なだけですもの」
「姫様はどこかへ出掛けたりしないので?」
姫様は私が城にきてから半月、一度も部屋を出ようとしない。
読書やままごとが好きなだけかと思いきや、時々退屈そうな顔で空を見ているばかりだ。
「そうね、今日はこんなにいい天気なのに。
でも、皆が私は外に出ちゃだめっていうの。あなたが雇われたのも私を見張るためでしょう?」
「確かに、雇い主に行動を逐一報告するように言われたけど私はあくまで姫君を守れという依頼を受けただけだ。
別に姫様がどこかに行きたいっていうなら着いていくし、相手が誰だろうが追っ手からあんたを"守る"のが私の仕事なんだよね」
「じゃあ、仮にお父様じゃなくて私が雇うとしたら報酬はいくら払えばいいのかしら」
「うーん、金は貯まってるしなぁ。…そうだなぁ久しぶりに鬼ごっこがしたいな」
「鬼ごっこ…?」
「そ、姫様と私のチーム対殿様の刺客で一勝負」
「随分とおもしろい遊びなのね。いいわ、私と鬼ごっこしましょうよ」
「かわいい姫君の命令とあらば、この小平太にお任せあれ」
「ありがとう、小平太」
(笑顔が可愛かったから。それだけあれば、理由は十分でしょ?)
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オフでもお世話になっている、
いやなりすぎているやすしからの贈り物。
日頃の感謝とかいって押し付けた夢小説のお礼に
こんな素敵すぎる小平太夢を書いてくれるなんて・・・!
何この子、文才ありすぎ!大好きだ!!!←
やすし様のサイト「恣」
(落乱・二次創作サイト ※BLカプ、R15)